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「新幹線」の話

運賃は割高
 東海道新幹線の経営はJR東海が担当しており、運賃は「割増し」料金に設定されている。これは、1991年の民営化直後に新幹線建設費のうち5兆円分の借金を引き継いだためだ。そのため借金を完済するまで通常運賃に20%ほどの上乗せされた運賃が設定されている。が、新幹線はそれでも大人気で、その結果かなりのハイペースで借金を返し続けており、現在の債務残高は3兆円を下回るところまで来ているようだ。借金を完済したあかつきには運賃は通常運賃に戻す予定であったが、今の割増運賃でも乗客は多いので割増運賃を続けたいーこともあり、東京〜名古屋間の「リニア新幹線」建設をぶちあげた。で、結局もくろみどおり「リニア新幹線の建設費を稼ぐ」ということで割増運賃はほぼ「無期限継続」となったようだ。

大人気の新幹線
 群馬県御巣鷹山に墜落した日航機事故の記憶はいまだに強い。「飛行機は速いが、危険だからねえ。」ということで、大阪はもとより広島、福岡へ行く場合でも、運賃は高くても、飛行機より多少は時間がかかっても、「新幹線」を利用する人は多い。JRの方も心得ているので「死者が0の新幹線」スローガンを全面に打ち出してアピールしている。そのため最も速い「のぞみ号」は一番人気だ。
 さて、下の東京駅発18:30〜19:30(2時間分)の時刻表を見てみよう。繁忙期(ゴールデンウィークやお盆時期)にはのぞみが11本、ひかりが3本、こだまが6本(うち2本は名古屋駅発)運行されている。東京駅発分だけをみても2時間内で18本の新幹線が発車している。約6分40秒に1本の割合だ。のぞみが最高速度275kmで走ることから、安全性から見ると列車の間隔はもう限界に達していると言っていい。実際に何度か乗っているのだが、車内の座席はいつも人でいっぱい。大阪駅で「前方で1席空いたな。」と思ったら、次の京都駅でもう埋まってしまう。繁忙期外でも常に満席に近い状態だ。

 のぞみの発車間隔がこれだけ短いと問題も発生する。ついうっかりと1つ早いのぞみに乗ってしまいそうになるのだ。新幹線のホームに上ると、のぞみが3本くらい表示されている。どれも到着時間が似ていて、しかも「のぞみ397号」「のぞみ399号」など、わずかな数字番号の違いしかない場合もあるので、ついついうっかりと1つ早いのぞみに乗ってしまいそうになる。列車はその到着時間が少し遅れる事もよくある事なので、そうなると到着時刻も変わってしまい、ますます間違えやすい。のぞみ号に乗る予定のある方は、切符に居印刷してある「のぞみの列車番号」に最も気をつけましょう。(座席位置などは乗ってからでもなんとかなるので)

「こだま」は空(す)いている
 のぞみ増発のあおりを食っているのが「こだま号」。最近は各駅で5分以上停車することがとても多くなった。場合によっては「10分待ち」ということもある。後ろから来る「のぞみ」を先に通すためだ。こうなるともはやこだまは「特急列車」と呼ぶのはどうなのかーとなってくる。
 さて、採算上、こだまの適正車両数は12両だそうだ。ところが、ダイヤの編成上16両にしたほうが全体の運行は都合がいいのだという。それは「到着駅でこだまをすぐ、ひかりやのぞみに切り替えられるから」。例えば東京−名古屋間を「こだま」として運行、そしてその列車は車内清掃の後、そのまま名古屋発の「ひかり」として発車できるからだ。空席が多くなっても車両基地に移動し車両の追加をし、また戻すことを考えればよほど効率的なのだという。そのためこだまは座席数に余裕がある。1車両のうち1/3しか座席が埋まっていないということもある。
 そこで提案だが、「こだま定期券」でも作れば通勤客を中心に乗りたい人はかなりいるのではないか。在来線は朝などは通勤客で殺人的な混雑となっている区間もあると聞いているので。

まとめ
 世界的にも例がない高架型の専用軌道と独特の運行システムで大成功した新幹線。しかし、日本列島は地殻的に不安定な陸地だ。巨大地震、最近の集中豪雨等への備えはどうか、トンネル内で断層が発生することはないのか(例えば熱海駅から三島駅の間にある丹那トンネル付近には丹那断層が走っている)。
 自然の災害はしばしば「人間の想定外」のレベルになることがある。リニアはとりあえず山梨駅で止めておいて、10年くらいかけてじっくりと超高速列車の経験を蓄積することにして、主な予算は在来線、新幹線の既存トンネル、橋などの点検強化、整備、補強等を行った方が経営的にも正しい方向かと思うのであるが。

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