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西暦2025年(ショートショート小説)

−首相執務室にて−
首相補佐官が首相に報告の真っ最中です。

補佐官:「首相、わが領土「南の島」がまたC国に奪還されました。」
首相: 「何!、また攻めてきたのか。これで何回目だ。取られたり、取り返したりの繰り返しじゃないか。」
補佐官:「そう言われましても敵はしつこいんですよ。C国の皇帝は相変わらずもっともっと領土を拡大したいらしいんです。」
首相: 「古い文献を見ても「南の島」はわが国の地名で記載がある。何しろC国の古い文献にさえもわが国の地名で記載されているものがあるじゃないか。」
補佐官:「C国が言うには、「そんな文献はない、でっちあげだ。」と広報しています。」
首相: 「しょうがない、また軍隊を送って取り返すしかないな。また死人が出るのか、やれやれ…。」
補佐官:「あのう、閣下。実は今度は弟の小隊が行く番でして…。粗野な奴ですが、弟でして…」
首相: 「なーんだ、そんなことか。心配には及ばんよ。弟くんはだぶん配置換えになるだろうから、大丈夫。」
補佐官:「そ、そんなことをしていただくわけには…。もし漏れれば議会で問題になりませんか?」
首相: 「君は切れ者なのに、意外と抜けてるな。秘密保護法があるじゃないか。」
補佐官:「つまり、防衛、外交に関する事項は秘密にできる(たとえ、議会においても)−ですか。」
首相: 「そうゆうことだ。また、実は軍総司令官など主な軍幹部と連絡を蜜にするために月に一度昼食会を開いていてな、司令部人事部長もいつも出席しておる。なに、配置換えの事などは言わん。ただ雑談の中で、「私の有能な部下、W補佐官が弟の事を心配していた。」といった世間話をするだけだ。ただそれだけのことだ。」
補佐官:「二重防御線ですか、閣下らしい。」
首相: 「何が二重防御線なのか、君の言っていることがよくわからんが…(笑)。それより今度の議会対策、またよろしく頼むぞ。野党の追求は厳しいからな。急所を突かれると言葉に詰まってしまう…。」
補佐官:「議会対策はお任せ下さい。私の得意分野です。最適な答弁をすぐに構築し、お耳に入れることができます。」
首相: 「それを聞いて安心した。今後ともよろしく頼むよ。ハッハッハ!」

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