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上司がいる会社

 普通の会社は上司がいます。主任はともかく、係長、課長、部長、それ以上は個室を持つ幹部役員でしょうか。昔はこのシステムでOKでした。「仕事の内容より学歴を評価する(学歴偏重)」などいろいろ問題はあっても、皆定年まで勤められ、家族を養えたものです。工場労働者は安月給で単調な作業を黙々と40年勤め上げ、そして退職。あとは年金をもらって余生を送るーといった生活スタイルが1980年頃まで定着していました。ところが今は中国、韓国、タイ、インドネシアなどからまずますの品質の製品が安い価格で大量生産され、日本をはじめ諸外国へ大量に輸出されています(100円ショップの製品などはいい例です)。なぜ安くできるのかというと、例えば中国、タイの労働者の平均月給は日本円で5万円ほどです(日本は6倍の30万円)。インドネシアベトナムはもっと安いです。
 そんなわけで現在では、かつての日本の「安月給だが安定」的な勤務スタイルはほとんど崩壊してしまいました。衣料、日用雑貨製品を中心に自動車、電気製品に至るまでほとんどの大規模製造工場は日本国内から海外へシフトしたのです。大量の工場労働者(正社員)が国内からいなくなりました。代わりに東南アジアの若者たちが大量に雇用され工場労働者となり、働いています。そんなわけで日本では正社員として働いている人が大変少なくなりました。今では「正社員=エリート」と呼んでも差し支えない感じです。今、日本国内の正社員は会社幹部か将来の幹部候補生という感じです。
 
 前置きが長くなりましたが、要は「昔ながらの古い会社体制で良いのか?」という問いかけをしたかったわけです。アイリスオーヤマの大山社長、スズキ自動車の鈴木会長のように管理者的、また経営者感覚を持っている上司ばかりならば何も問題はないのでしょうが、ともすると「仕事より、上の上司に気に入られる事」を優先する管理職が多いのも現実です。ひどい管理職になると、「君、今度の月末に専務が来るから間違いのないように接待の準備、それから当日の視察行程についても念入りに相手先と打ち合わせ、そして予行演習をしておいてくれよ。」となります。―通常の仕事だけでも目一杯なのに、さらに間違いのない御接待業務が臨時追加されるわけです(実は夜の宴会準備が一番大変だったりして)。そこで部下はどうするかというと、仕事はそこそこに、管理職の上司である専務の視察準備を最優先することになってしまいます。より出世したい管理職の指示というのは、ともすれば「会社幹部に気に入られることが主で仕事は二の次」となってしまいがちですね。
 またこのような管理職は「部下より自分のほうが優秀」と思っているので、部下から新しい提案があっても自分の判断だけで却下してしまいがちです。そうなると部下は次第に上司に気に入られる提案だけをするようになってゆきます。
 脅威となる、安いコストで製品を作れる海外の会社が増えてきているだけに、昔のままの「上意下達」体制の会社は新しい体制を考えて変えていかないと経営は「右肩下がり」になってゆくのではないでしょうか。

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