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野菜を作り始めました(その1)

 仕事に役立つこともあり、この4月より市民農園を借りて野菜を栽培し始めた。隣の市では市民農園は不足していて、「抽選」になっている人気と聞く。やりたい人は多いようである。他方、貸し手となる農家の方でも最近は耕作者が年寄りになり、徐々に耕作ができなくなってきて、荒れている農地が増えてきている。荒れてくると雑草が生い茂って害虫の住み家となり、隣の農地で農薬を散布してもこの住み家(荒地)に逃げ込んで農薬が薄くなるのをじっと待つーそんな行動を取るのだそうだ。つまり荒地化した農地は害虫の基地(隠れ家)となってしまうーということだ。

 荒らすと隣の畑の農家に迷惑がかかる。農家としてはきれいな農地として所有しておきたいーという願望は強い。そんなわけで、隣の畑の農家や親戚、友人の農家に格安の借地料で貸すケースが多い。借り手側の農家が借りるのを望んでいない場合が多いからだ。「労力的にツライけど頼まれたからしょうがない。引き受けるか。」という「付き合い義務的」な感じだ。中には10a(60坪の1戸建て宅地×5戸分の広さ)もの農地を無料で貸す場合もあるという。それほどまでに、貸し手農家の「きれいな農地として所有しておきたい」ーという願望は強い。それでも借り手が見つからず、雑草や低い樹木に覆われてしまっている元農地は皆さんもよく見かけるところである。
 畑を借りたい人がいる、農家の方も貸したい。ならば、不要となった農地を市民農園に区分けしてどんどん貸し出せばよいではないか。市民農園の借地料相場は1区画0.25a(5m×5mの正方形の土地)で15,000円/年間であるので、仮に10aの不要農地があり、市民農園をやるとすれば、駐車場や境界歩道分(作業道として歩くスペース)を除いても25区画は取れるので、25区画×15,000円=375,000円が毎年貸付地収入として入ってくるわけだ。他の農家に貸し出す場合は有料でも20,000〜50,000円という場合が多いので、市民農園経営はとてもおいしい話ではないか。
 ところが、市民農園を始めるには大きな障害があるのだ。
 第1は「借り手がどのような人かわからない」という点だ。借り手が隣の畑の農家や親戚、友人の農家の場合は安心感がある。農地を取られてしまうなどの不正はおよそ考えられない。農村地帯では共同体意識が強い。神社や農道補修、用水路清掃などの共同作業がかなりある。お祭りや盆、結婚式やお葬式などでも昔より少なくなったとはいえ、いまだに交流が盛んである。また収穫がある度に「これ穫れたけど、食べて。」と近所や友人、親戚の農家に配って歩くのも日常行事である。当然、ただ置いてくるわけではなく、そこでは「世間話し」が始まる。1時間2時間、暇な時は半日もいろんな話しに花が咲く。お互い「なじみ」の人が多い地域である。このような農村地域に住む農家はお互いに「騙す」というようなことはまず起こらない。
 第2にはそれは市民農園をやるには契約書が不可欠―という点だ。貸し手と借り手の間で正式な契約書が必要となる。ところが一般的に農家はこういった法的手続きや難しい契約書が苦手である。下記がその契約書の例であるが、「あっ、こうゆうのは苦手。」と感じ、全く読む気がしない読者の方もいるのではないだろうか。

 よく読めば、内容はわかるのだけれども、その「よく読む」のが「面倒」と感じている農業者が多い。ましてや自分がオーナーとなり、借り手に契約書の内容を説明しなければならない立場となるので契約書の内容は十ニ分に知っておく必要がある(借り手から質問も出てくるしね)。かといって、正式な契約書を交わさず適当に貸していると、ずる賢い不動産業者などに農地を奪われてしまう危険性もある。「市民農園もいいかなあ、でも面倒だな。」―結局、ずるずると何もしないでそのまま−というのが現状だ。

 以上は、今回お借りした畑のオーナーKさんからの情報も含め、お話ししました。Kさんは、実は30年以上会社を経営しており、契約書の作成は「慣れている」のだそうです(つまり、農業は父母がやっていて本人は別の仕事をしていたわけだ)。また、農業ではなく市街地で街の人を相手に仕事をしていたので借り手となる人達の考えもよくわかっている。それで抵抗なく市民農園を始められたというわけだ。

次回へ続くー次回はいよいよ実際の農作業の話題(主にトラブル)に入ってゆきます。

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